SRE NEXT Staff Blog

SRE NEXT 2022は2022年5月14日(土)、5月15日(日)の2Days開催! SREによる、コミュニティベースのカンファレンス "SRE NEXT" のスタッフブログです。

法人化と SRE NEXT 2022

こんにちは。SRE NEXT 2022 運営スタッフでした、sogaoh です。

ご存じな方もおられるかと思いますが、前回 2020 時点では任意団体であった SRE NEXT は、2022年1月20日を設立日として一般社団法人となりました。簡単ではありますが コーポレートサイト も内製しています。そちらに記載の通り、 Site Reliability Engineering (SRE) の浸透・発展 をやっていきます。

今回、無事に 2022 を開催できたことで当面の運営に向けての下地が安定しました。これはひとえに協賛いただいたスポンサー様、素晴らしい発表を披露いただいた登壇者の皆様、時間を割いて開催準備に臨んだスタッフ、そして、盛り上げていただいた参加者の皆様からの賜り物に他ならないと思います。
実は一般社団法人SRE NEXTの理事の1人である自分からこの場を借りて御礼申し上げるとともに、法人化を推進しその上で 2022 に向けて準備を進めていった際に得た知見などを共有しようと思います。何かのお役に立てば幸いです。

法人化まで

そもそも法人化したいという動機ですが、自分が参画する前の任意団体だった頃から、運営負担を軽減する目的で法人カードを切望していました。カードのない経費精算超大変。注力したい事業へ割くべき時間がかなり取られる辛さがありました。

司法書士法人へコンタクト

法人化していくことが内部で決まって、まず探ったことは設立の方法です。
会社設立 freee でだいたいの設立準備をできないか?を問い合わせたのですが、残念ながら一般社団法人の設立には未対応との回答でした。1
そこで、自分の顧問税理士 2 紹介で司法書士の方と繋げていただきました。最初に教えてもらったのは次の情報です。

  • 費用見積もり
    • 数十万
      • 半分以上は国へ納付する。3
  • 法人化実現時期
    • 1〜2ヶ月後
      • 指定して、そこを目標に動いていく、というパターンもあるそうです。
      • 縁起を担ぐなどで日付や時間を指定するお客さんもおられるとか。自分にはその考えはまるでなかったので「へー(言われてみるとそういうふうに考える方っていそうだな)」って思いました。
  • 準備が必要な事項
    • 法人名(その時点で決まってました)
    • 所在地(これはまだ未定でした)
    • 理事・設立時社員の必要人数と、それらの人は印鑑証明書が必要であること
    • 年度の「区切り方」を決めること

定款を作る・必要な書類等を集める

妥当な見積もりだったし、早期設立にもかなり希望が持てたので、そこから粛々と契約と並行してやるべきことを進めていきました。
第一に取り組んだのがいわゆる定款の作成です。設立にあたって必要な事項を、司法書士法人さんから渡されたチェックシートを埋めてお返しすることでほぼそれは完了で、残りの「外堀」をいい感じに整えていただきました。記入した主な項目は以下です。

  • 活動目的(理念)
  • 事業内容
  • 法人形態(営利型か非営利型か)
  • 名称、主たる事業所の所在地
  • 設立時社員、理事、代表理事
  • 設立希望日、決算期
  • 謄本取得通数、印鑑発注するか・どれがいいか

整えてもらった定款案は理事候補がレビュー&フィードバックを数回程度往復し、その結果チェックシートを埋めてから期間にして約2週間とちょっとで定款がまとまりました。この時点でまだ2021年内。なかなかのスピードだったんじゃないかなと思います。

定款をまとめてもらう間に、必要になると話のあった印鑑証明書を理事候補に用意してもらいました。加えて、代表理事@katsuhisa__さん )には運転免許証などの身分証のコピーも必要とのことで、準備してもらいました。 これらを司法書士法人さんに送るのですが、先んじてレターパックで返信用封筒を入れて送ってもらい、その中にはなんというかパーフェクトに「ここに印鑑」「ここに署名」の付箋が、見るだけで間違えようのない感じで指示されてました。これほど丁寧な「紙」、とても久々に見ました。字を書く機会が大変少なくなっていたので、こういったところになんというか美しさを感じたのは久しぶりでした。

法人等番号から法人番号を知る

年が明け、理事からの委任状と定款も提出されたであろう頃から1週間後くらいに登記の状況確認メールを入れたところ、ちょうど「手配は整った、設立日を選んでください」との返信をもらいました。
こうして、2022年1月20日を設立日として、一般社団法人SRE NEXTが爆誕したのですが、「法人番号通知書は法務局から送られてくるまで待っててね」とのことでぼーっとしてました。
そうしていたら、「登記簿4は?もう司法書士法人さんは入手してるはず」と聞いて、そういうものだと知らなかった自分、あわてて連絡を取りました。それへのコメントは「ちょうど送りました」だったと記憶しています。
程なく登記簿が届き、法人等番号を知りました。おおおーと勇んで法人番号公表サイト 5 で我々の登記情報を確認しようとしたのですが、「法人番号から調べる」で入力を求められているのは 13 桁の半角数字。登記簿にあるのは 12 桁。「あれえ?」となりました。そんなことを言ってると、先の「登記簿は?」と指摘入れてくれた先輩、法人番号のチェックデジット12桁から13桁への調べ方マイナンバーにおける法人番号の検査用数字を計算 のサイトを教えてくれました。
こうして、法人番号通知書が届く前に法人番号を知り、次にやるべきいろんなことに動き出したのです。

法人化してから

口座開設に奔走

法人設立して第一に行ったのは口座開設です。ネットバンク系とメガバンク系を並行してあたりました。
ネットバンク系はオンライン+郵送で手続きが完了しました。書類がちゃんと整っていたようで、結果的にはすんなりと開設できましたが、過程でいくつか知ったことがあり、列挙しておきます。

  • 「業務内容確認資料」が必要
    • ホームページがあると URL を記載すればOKになるので、事前にある程度のものを作った方が良いです。
    • ホームページがあっても、法人設立届出書の控えが必要
      • 管轄税務署・都税事務所・市区町村役所の3通りがあることを後で知りました。管轄税務署にダッシュで行ったのですが、確定申告の時期で駐車場が使えず、コインパークから歩いて行ったりもしました。。
  • 手続きを代表理事以外が行う場合、委任状が必要
    • 最初にあたったネットバンクではなかったのですが、代表理事の「自筆」の委任状を求められる場合があり、そうなると郵送が必要です。
    • 法人の印鑑証明書でOK、なケースもあります。

メガバンク系の口座開設申し込み、一発目は断られました。ショックでしたがそういうものらしいです。"なるほどこれが「社会的信用か」"と思い知った瞬間でした。直接窓口に行って、受付担当となった方に「SREとは?」を説明などしたのですが。あと、「実質的支配者」という用語も申請書類を書いたときに初めて知りましたね。。語感がゴツい。

ネットバンク系で口座は開設できたのですが、海外への送金に備えておくために、メガバンク系二発目に挑む必要がありました。そこで選択した金融機関での法人口座開設には 8 種類もの書類が必要で、これまでにない以下の書類を準備しました。

  • 出資者名簿
    • なんとなく作りました(絶対的な形式は特になさそうです)
  • 財務状況を確認できる書類
    • 会計SaaSから出力する試算表・総勘定元帳を持参しました
  • 法人番号通知書
    • 法人番号公表サイトを利用すればそれの印刷で良いのですが、このときは「紙」が必要なの!?と驚き、取っておいてよかったあ、と思いました

他には登記簿・印鑑証明書・来店者の身分証・法人設立届出書の控え、といったこれまでに出てきたものが必要でした。どんな口座開設でもほぼ必要になるので、多めに確保しておいた方が良いです。これは前出の先輩のアドバイスでもあります。一方で、多く確保しすぎると、「まだある」という状況でもときどき「直近3ヶ月以内」が要求されるので、後で使おうとして無効となる可能性があることに要注意です。自分の場合、法人スマホを契約するときにそれを認識することになりました。。

今ではこの二発目で口座開設ができているのですが、初期設定の送金金額上限が 5 万円で、これじゃあ・・・という状況であることに最近気がついたので上限額の切り上げを申請しています。ここの確認とても大事です。。
それにしても法人と個人では事業規模が全然違うので、かなりドキドキしながらやってます。何も悪いことしてないのにw。

コーポレートサイトオープン

口座開設の前にできていれば尚よかったのですが、結局のところ間に合わなかったのでホームページは前回 2020 の公式サイトで書類には書くことにしてました。それはそれで当時の我々のやっていることを示すページではありましたが、法人名の記載がないといったやや致命的なところもあると感じていました。
2022 の公式サイトもちょうどその頃に整備が始まって、サイト構成の調整に便乗して法人サイトも作ることにしました。一気に、ドメイン取得して、サイトに載せることを検討し、突貫工事な様相を否めないですが構築着手から実質 2 日目に コーポレートサイト をオープンしました。
アピールはしてこなかったのですが、以下 2 つのページは準備のタイムラインと事後の情報公開を一覧化しており、意外に便利です。

SRE NEXT 2022 までに整えたこと

やはりここまでに書いた、法人化前後の過程が自分には印象深いですが、その他にも SRE NEXT 2022 終了までにいろいろなことがありました。だいぶ長くなっているので手短に列挙していく形で並べておきたいと思います。

任意団体から法人化する場合の期初繰越処理

税理士さんに相談して、以下のようなコメントをもらいました。
(これは今回の SRE NEXT の場合という一例です。全てに当てはまるというわけではない点をご了承ください)

  • 税務会計については、任意団体からの資産の引継ぎは寄附に該当する
    • これを会計SaaSで処理しようとして勘定項目「寄付金」にするとそれは支出の項目だったので後で収入の項目に直しました。。。
  • 任意団体側で収益事業6がある場合には課税の対象となり、法人税の申告が必要
    • その際に法人への寄付金は経費になり、収益から控除することができる
      法人税法上は経費として認められるのは一部)

士業法人との顧問契約

財務・法務(・労務)面の対応について、特に法人化の初期段階では煩雑で負荷が高いので、士業法人との契約を行って主力事業(今回で言うと SRE NEXT 2022 の準備等)に注力できるようにしました。

  • 対応レスポンスの早さを考慮して個人経営ではなく複数人メンバーの所属する税理士法人を選択
  • 労務面に関しては、当面は役員報酬を支払わないこととしたため「何もしない」で済ませた7
    • 顧問契約が不要のスポット(単発)の労務手続き対応を社労士さんに依頼するサービスがいくつかあるが、利用しなかった
  • SRE NEXT 2022 で何件か覚書を締結したが、レビューは全て内部で行った
    • 法務面の整備は今後の課題に感じています
  • 4月に法人事業税・都民税・市民税8を納付しました
    • 毎年3月が区切りとなるようで、今年の1〜3月分を納めました

社用スマホを契約

設立手続き当初は個人の携帯を電話連絡先にしていました。口座開設のあたりではだいぶ活躍していたのですが、その後は何もなく、個人への連絡と混ざるとアレかなあと気が付くことがちょっとあって、社用スマホ導入を相談し、合意を得て契約をしました。

  • 登記簿や印鑑証明書などがだいたい必要そう
    • 直近3ヶ月のものを要求されることがあるので発行日要確認
  • 所属を証明するのに社員証か名刺を求められるケースが多そう
    • 突貫でオーダーして、翌々日に入手しました
  • ベンダーによってはもしかしたら委任状が必要な場合があるかもしれないです
    • 今回は必要なしでした

そして、これから

無事に SRE NEXT 2022 が終了し、ひと段落、というところですが、少々の事後処理はもちろんあります。それらが落ち着いたら、会員制度9の整備や長期的な計画を検討して法人運営をやっていく予定です。目的である、Site Reliability Engineering (SRE) を浸透・発展させる を達するために。
今回出た課題もそれなりに多いのですが、一方でもっと影響力を発信していきたいという野望というか理想もあり。一歩一歩、やっていきたいと考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


  1. 2021年12月3日時点

  2. 当時自分ははまだ個人事業主でした。顧問契約を結んでいて、確定申告や日々の会計記録をチェックしてもらっていました。

  3. refs https://www.koueki-houjin.net/seturitu/keihi.html

  4. 「履歴事項全部証明書」の通称。

  5. https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

  6. NPO法人の法人税について~収益事業の種類と具体的判定 – NPOや中小企業を応援する公認会計士・税理士事務所 アイケイ会計事務所 の説明がわかりやすい

  7. 所管の年金事務所から「厚生年金保険・健康保険の加入状況にかかる調査票」は郵送でやってきました。ありのままに回答して返信。

  8. refs https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_04.html

  9. 今回集まったスタッフは一般社団法人におけるいわゆる「会員」に該当する形になると思っています。ただし、正式な会員制度もまだ整っていないですし、何かを契約したわけではなくあくまでボランタリーでした。